酒田中華の方向性

空前のグルメブームの中、東京では全国のご当地ラーメンが次々新規店舗を建てている、各地のラーメンが火花を散らしている、東京で生活しそれらのラーメンを食べて、一番感じる事は、カリスマ性(インパクト)が有る事だ、どれも行列の出来る店に入ると、麺やスープに特徴を持っている。 例えば、四谷に一心ラーメンと言うラーメン屋さんがある、ここのラーメンは日本一細い麺で麺の細さが1.5ミリしか無い、茹で時間30秒、スープは豚骨醤油、ネギでは無くタマネギのみじん切りが入り、豆板醤で辛さを5段階にして、激辛を歌った。この四谷に出来たラーメン屋さんの20メートルたらずの所に前から店を開いていた中華料理店があった、一心ラーメンが出来るまでは流行っていたのだか、ある日の夕方、ここを通りかかった私はこの2店の店主の取っ組み合いの喧嘩を見てしまった。問題は一心ラーメンがあまりにも流行し、店の中だけでは客が収まらず通りに椅子を並べた事から、中華料理の店主が営業妨害だと殴り込んだのだった、すぐに警察が駆けつけ公平なる裁定を下し、通りにある椅子を全て撤去した。ここから一心ラーメンはどうしたか?、まず近くのコンビニに生麺とストレートスープの持ち帰り用のラーメンを置いたのだ、そして並びあぐれている客にチラシを撒き、コンビニで買ってくださいと頭を下げた、この結果人気が無くなった中華料理店は閉店の憂き目にあった。同じ事を酒田中華にはやってほしくは無い、しかし時代の変化に対応して行かなければならないのだろう、酒田中華にはむしろ今、スタンダードに回帰して貰いたいと思っている、「中華そば」「中華そば専門」といった風にさらされた暖簾が今、どんどん消えて行く。 酒田に住んで庄内中のラーメンを食べ歩き改めて自分の住んでいる街のラーメンの美味しさに気づき閉店して行く店を憂いでいる、そんな中、今回は私が自称酒田中華と呼ばせてもらったラーメン屋さんに改めて感謝したい、決して何処何処のラーメン屋さんが特に美味しいとは言わなかったつもりだ、それはその時代にやっているラーメン投票で決めてほしい、どんどん消えて行く一代目本店の味、庄内の酒田の紀行風土に根ざす為にはこんな歴史と工夫が有ったのだと少しだけ頭に入れて食べて置けば懐かしさ倍増なのである。最後に大来軒のおかみさんから言われた言葉を付け加えて置きたい、「あんた・小さい頃からずっと飽きずに食べて来た中華が一番旨いに決まってるだろ〜」「何処さふらついっだんだ」もてなしの言葉であった。


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