さて、そもそも「ドンガラ汁」とは何か。ガラとは"アラ"がなまったものという。そしてドンガラとは、庄内で捕る寒鱈の身(肉)を除いた、頭、内臓、骨、ヒレなどの総称といえる。こうして揃った具の一式をブツ切りにして鍋に放り込み、味噌仕立てで仕上げれば、潮の香がつまった名物ドンガラ汁ができる。寒風、ときに雪が吹きつける磯場で摘みとった岩のりを添えると、風味に一層独特な趣が加わって厳寒の日本海料理になるのである。内臓のうち特に肝臓は「脂ワタ」といい、鍋一番のコクをつくり出すドンガラ汁の立役者と言ってもいいだろう。鱈は調理すると、煮つけても鍋にしてもアクが出る。このアクをこまめに掬い取ってから味付けをするというのがタラ料理のコツだ。 ――オレンジ色の小さなソーセージを思わせて、子供の頃、口にふくまされた肝油は、文字通りこのタラの肝臓が原料とか。また、タラは二日酔い効くといわれたり、利尿作用もあるという。タラコやシラコは不老長寿の薬にもなるというから誠にありがたい魚である。 |
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