その1 時間             (あなたはもう)
                  (御用済み) 
(終わりの無いコンサートさ)    (ベタベタするのはお止し)
心を沈めて             (酒精君)     
羽毛の世界に浸り込む                 
…………              日の匂いの移ろう陽炎(かげろう)の原
(幕間にわざとらしく)       ゆらっと頭が揺れて  
(咳などしないでおくれよ)     …………       
                  (まだ)       
夜                 (コンサート?)   
公園                           
ひとり               その2 距離    
蒼い光の蒼い影           
ゆらゆらブランコに揺れている    蓮の桜色       
頬杖ついて             俯き加減に
ゆらゆら              髪の間に       
指先の               黄昏れる古池     
愛のほてりを想い出し        デ慌テテ掬イ上ゲヨウト
ゆらゆら ゆらゆら         シタノデス シカシ  
時計は逆さに回る           指の間にひっかかり
                  手にした刻(とき)の成果品 ハ
(通り慣れた)           非浸透性の散歩者   
(錆ついたらせん階段さ)      アナタノ倒影(かげ)  
                  ノミ         
とんとん とんとん                    
下降して               コルセットヲ固クシメ
行く着くのは             ヒキ籠モッタ処女(おとめ)ハ
(せいぜい)             厚塗リノ化粧デ   
グラスの地平              頬ノ青イ痣ヲ隠シタノデショウ
                   カ         


 ソシテモウ              レモンのような涼しささ
 狐色の牙デ
 楔ヲ打チ込マレタノデショウカ     道?
 髪ヲ振り乱シタ女ノ          あるさ!
 呪イノ藁人形ノヨウニ         果ての無い獣道だけどね
                    道端では友人達が
窓越し                 首を長くして
傷心のそぶりを見せる          くるくる回っている
あなたはすでに             ごていねいに
秘                   手首まで切って……  
密の蜜月特急の
中                   夜には
                    釣針のような三日月がかかるのさ
その3 空間              一輪の
                    月見草の上に

私の夢は緑の庭
木蔭で
ボードレールの地獄を
やさしく想い出す事

照れ隠しに
赤い傷口に緑の絵具を塗ったり
してね
(だけど)
手の形の葉が二心(ふたこころ)持って
満開さ
捲毛が一本一本アンテナさ
球形の青い理想郷ではね

あなたの泪のような

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