深く夜の音           
想いが              お前の為に 懸命に探した
浮いては消え           貝殻なんだ
浮いては             
消え               ………
――想いは何処へ         貝殻の
                 吹き抜ける風の……
夜の闇に             
海の……
漂う 心ひとつ          細く永い……
浮いては沈み           うなりの音が……
浮いては             心に鳴って……僕が
沈み……             ……飛んで行……く
地平は――何処?  

心の重石が ゆるやかに揺れる
蒼ざめた想い出に
もう 日射しの匂いはない
翳色に染まり 音なく動く
悲しみの味に塗り潰された
楽しさの刻(とき)  

砂浜の一粒一粒の砂の記憶
……砂の味
砂浜で一粒一粒積み上げた
砂の城
……砂の夢

波に濡れ立つ独りの自分
貝殻を手に持ち冬の海

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