酒田中華の緬について
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酒田中華の最大の特徴は何であろうか、やはり何といっても麺だと思う。酒田中華の麺の食感が独特なのには訳がある、一つは自家製麺で作るので調合がし易く多加水麺である事、水とカンスイのバランスを調節している事、それと熟成させる(2日〜4日)事であろう、しかし小麦粉自体のブレンド具合はそれぞれの店でだいぶ違うようだ。私の好みを言わしてもらえば麺については大来軒の本店が一番好きだ、それは腹一杯たべたと言う満足感が引き出せる麺質だからだ、例えるなら、内陸の人が餅を飲み込み食べのど越しを楽しむあの感じに似ている。庄内のラーメンを食べ歩くと、色々な酒田中華に関するヒントに出くわす、最近、平田町の砂越の陸橋の近くに満点来と言う店がオープンした、店の看板には中国温総菜と書かれていた、ラーメンが食べたくて店を覗くと、そこから30代の中国人女性が出て来た、私がラーメンを食べたいと言うと、「私ん所、ラーメンはやって無い」とつれない返事が帰って来た。
ラーメンという料理は日本発祥の食べ物で中国料理のメニューには無のだそうだ、以前友達が中国に観光に行ってそんな事を言っていたのを思い出し、私は咄嗟に「ジャージャー麺を食べたい」と言った、女店主は暫く考え、中に招き入れてくれた。女性は聞くと中国残留孤児の母親と4年前から日本で暮らしているそうで、店を最近開いたそうだ、店の中では母親と夕方から来るお客の為の料理の準備が進められていた。 まず待つ間にウーロン茶が出て、つぎに茶菓子が出てきた、彼女はジャージャー麺を作りながら私に中国の食文化を話してくれた、それによるとまず中国にはラーメンの麺自体が無いのだそうで、麺に日本人は何故カンスイを入れるのか疑問だと言われた、私はカンスイを入れないと饂飩の麺になってしまうと言うと、中国の麺は塩水でこねる、体に悪いカンスイは入れないと言うことだった。カンスイとはいったい何か、麺を黄色く色帯させる正体を知らなければならなかった。
(カンスイは人口的に作る物と天然に存在する物がある、天然のカンスイは油田から出る石油カンスイ、天然ガスの採取にともなって出てくる地下カンスイがあり塩分濃度が50%以上の液体の事を言い、ヨウ素、臭素が含まれている場合が多い。これに対して人口のカンスイとは海水または天然カンスイに手を加えたもので、カリューム・マグネシューム・ミネラル分・を適度に含む農塩水で、食品添加物のカンスイは人口カンスイがほとんどだ。)
次に店主は食文化の違いについて彼女は述べた、中国の場合食事と言うと一品料理の事では無いそうだ、したがって私の店で出す料理は少なくとも何品かの料理で一品料理と言う事となると、今は、餃子と肉まんだけだそうだ、いわゆる日本で言うおやつと言った所だろう、彼女が日本に来て困った事は外食しようと出掛けると一品の量が少なく値段が高い事だそうだ。そうこうしている内に前菜に特別にバラ肉と豚足の煮込みが出てきた、東京で生活した時に食べた味がしてなつかしかった、続いてジャージャー麺、麺は麦切り、スープは茹で汁、 セロリと挽肉の天面醤炒めがあんとして掛かっていた、ジャージャー麺はシンプルな味だったが天面醤は本場の輸入品で赤だしを濃縮したような味だがしょっぱくなくまろみが感じられた、酒田で似た料理と言えばあんかけ饂飩がある、しかし煮込みと続いて食べると、中国の料理で有ることは疑いの余地はなかった。満点来の女主人からは本来日本人も持っていただろう、もてなしとしての食事の仕方を教わったような気がした。 |